はじめに
保存的矯正治療を処置するにあたり、以下の事を念頭に治療にあたっています。
- 歯科治療の多くは、治療という名目で歯を傷つけています。
傷つけられた歯・抜かれた歯は、元には戻りません。
そして、機能の低下が起こります。
できるだけ歯を保存する姿勢が大切だと思います。
これに基づいて治療しますので、非抜歯による治療を大前提としています。
- 床矯正の治療方針は、保存的矯正治療を基本としています。
歯と顎の大きさがアンバランスで、未発育な顎を床矯正装置により適切に拡大し、
歯を移動することによって解決します。
しかし、歯がねじれていたり回転している場合、多数の歯をそれぞれの方向に
三次元的に移動するケースの場合は、形状記憶合金のワイヤーで治療をおこないます。
治療方法としては、それぞれの方法の利点、欠点があります。
それぞれの治療法を融合して、患者さんの求める治療を決定したいと思います。
治療開始のタイミング
矯正治療において、12~15才からの治療開始がもっともいいといわれるのは、
抜く歯(第一小臼歯・前から数えて犬歯の次の歯)が生えていないからです。
この歯は、10才半~11才頃生えてきます。
つまり、抜く歯が生えるのを待っているのです。
歯が並ばない小さな顎に歯並びをそろえるのは当医院としては納得できません。
人間の器官に無駄はありません。
歯を抜くことで、全身のバランスを崩す危険も恐いですし、
特に子どもの場合は咬む刺激が減少することにより、顔の改善は期待できなくなるでしょう。
治療法について
装置は、入れ歯によく似た装置で、幼児でも簡単に取り扱いができます。
床装置の治療目的は……
- 萎縮した顎を正しい大きさに拡大します。
- 歯を正しい位置に動かします。
- 後退している下顎を前方に誘導し、移動します。
- 舌などの悪習慣の是正をします。
基本的には一方向しか移動できないので、
顎を拡げる装置、歯を押し出す装置といくつかの装置を組み合わせて治療します。
治療開始時期が早ければ早いほど治療が早期に終了します。
床矯正の治療は、装置の数で設定されています。
早期の治療開始ならば一装置で治療は終了します。
様子を見ていて、症状が複雑になれば、いくつもの装置が必要になり、治療費用もかかります。
床装置の中にスクリューが装着されています。
ヨーロッパでは200種類のスクリューがあります。
ネジを棒【キー】で巻くことで、スクリューが移動して、床が拡大して顎を拡げたり、歯を移動したりできるのです。